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トランプ大統領の関税政策、為替変動…海外取引のある中小企業が見落とせない「経理・会計の重要ポイント」

No.2270,769

トランプ大統領 “一律10%の関税 交渉で合意後も原則維持”

アメリカ大統領トランプ氏が
諸国に関税攻勢をかけています。

 

海外との取引が多い企業は
事業計画の見直しが迫られているかと
思います。

さて、海外との取引を
考える時に、日々の事業に
影響を与える要素があります。

国際情勢の大きな波に加え、
日々の事業に絶えず影響を与えるのが
為替レートの変動です。

 

円安傾向が続いている状況、
そして今後の変動リスクは、
事業収益に直接跳ね返ってきます。

関税も為替も、私たち中小企業には
コントロールできない外部要因ですが、

これらの影響を正しく把握し、
適切に会計処理することは、
会社の正確な経営状況を把握し、
対策を講じる上で非常に重要です。

 

特に海外との間で「外貨建ての取引」がある
中小企業の皆様に、
為替変動がどのように会社の
「決算上の利益」に影響するのか、
経理・会計の視点からまとめてみました。

 

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ITに詳しくない中小企業に寄り添う
竹内美紀です。

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為替変動が「為替差損益」を生むメカニズム

海外のお客様への販売代金をドルで受け取る
(外貨建売掛金)場合や、海外からの仕入代金を
ユーロで支払う(外貨建買掛金)場合など、
外貨建での取引は多くの中小企業で行われています。

これらの取引を日本の会計で処理する際には、
必ず「円への換算」が必要です。

ここで基準となるのが

「為替レート」

です。

  • 取引が発生した日のレートで、取引金額を円に換算して会社の帳簿に記録します(例:売上高、仕入高)。
  • しかし、その後に実際に外貨を受け取ったり支払ったりする「決済日」、あるいは**会社の「決算日」**が到来するまでに、為替レートは変動します。

この「取引日のレート」と
「決済日や決算日のレート」

の差によって生じる、
外貨建の金額を円に換算し直した際の差額が、

為替差損益(かわせさそんえき)

として、会社の損益計算書に計上される項目となります。

現在の会計ルール:期末に評価替えして損益を認識する「独立処理」

外貨建取引の為替変動について、
かつては様々な考え方がありましたが、
現在の日本の会計基準では、
原則として以下の考え方(実質的な「独立処理」)に
基づき処理されます。

  1. 外貨で商品を販売または購入した時点では、取引日の為替レートで円に換算して、売上高や仕入高、そして外貨建の売掛金や買掛金などの「貨幣項目」(将来受け取る、あるいは支払う外貨の金額が固定しているもの)を計上します。
  2. その後、会社の決算日が到来した時点で、まだ決済が完了していない外貨建の貨幣項目(外貨建売掛金、買掛金、借入金、現金預金など)については、その決算日時点の為替レート(期末レート、B/Sレートとも呼ばれます)で円に換算し直します。
  3. この「期末レートでの換算額」と、帳簿に記録されている「期末時点での円換算額(取引日レートまたは前回の期末レートで換算された額)」との間に生じた差額は、たとえまだ実際に外貨を受け取ったり支払ったりしていなくても、その決算期における「為替差損」または「為替差益」として、当期の損益計算書に計上されます。

つまり、現在の会計ルールは、
外貨建の貨幣項目が期末時点で持つ
円換算価値の変動を重視し、

その変動額を期中の損益として
認識することを求めているのです。

これは、外貨建の資産や負債を持つこと自体が
為替変動リスクに晒されており、
そのリスクがもたらす成果や損失をタイムリーに
財務諸表に反映させよう

という考え方に基づいています。

【簡単な例】

  • 海外に1万ドルで輸出(売掛金発生)。取引日のレートは $1=150円 だった → 売上 150万円、売掛金 150万円 を計上。
  • 会社の決算日。まだ売掛金1万ドルは未回収。決算日のレートは $1=158円 だった。
  • 売掛金1万ドルを期末レートで評価し直し → 1万ドル × 158円/ドル = 158万円。
  • 当初計上額150万円との差額 8万円 (= 158万円 – 150万円) は、この決算期に「為替差益」として計上されます。 (もしレートが145円に下がっていれば、5万円の為替差損)。

中小企業が注意すべき実務上のポイント

この会計ルールは、特に中小企業の皆様にとって、以下のような影響や注意点があります。

  1. 予想外の利益または損失: 本業の売上や仕入とは別に、期末の為替レートの変動幅によっては、為替差損益が大きく発生し、会社の利益を大きく押し上げたり、逆に大幅に圧迫したりすることが起こり得ます。
  2. 「利益が出たのに手元に現金がない」ということも: 上記の例のように、為替差益は、まだ外貨を受け取っていない「評価益」の段階で計上されます。利益が増えれば法人税等の税金も増える可能性がありますが、その納税資金となるはずのキャッシュ(外貨)はまだ手元にない、という資金繰りのギャップが生じる可能性があることを理解しておく必要があります。
  3. 為替予約によるリスクヘッジ: 為替変動による損益の不確実性を排除したい場合は、「為替予約」という手法が有効です。これは、将来の外貨建取引の決済レートを、事前に金融機関との間で確定させておく契約です。為替予約を利用すれば、会計上の為替差損益の発生を抑え、キャッシュフローを円ベースで安定させることができます。

顧問税理士・会計士との連携がカギ

トランプ大統領の政策動向に加えて、
為替市場も常に変動しています。

このような環境下で海外取引を
されている中小企業にとって、

為替変動が自社の経営に与える影響を正しく理解し、
会計処理を適切に行うことは、
会社の安定経営のために不可欠です。

「うちの会社の外貨建取引は、決算でどういう影響が出ているのだろう?」
「期末に向けて為替変動リスクをどう考えたら良いか?」
「為替予約ってうちの会社に合うのかな? 会計処理はどうなるの?」

このような疑問や、
日々の経理処理で分からないことがあれば、
まずは顧問の税理士さんや会計士さんに
積極的に相談してみてくださいね。

まとめ

トランプ大統領の関税政策など、
国際的な不確実性は高まっていますが、
それと並行して、

日常の外貨建取引における為替レートの変動も、
会社の利益に大きな影響を与えます。

現在の会計ルールでは、
期末のレートで外貨建の資産・負債を評価し直し、
その評価差額を損益として認識することが求められています。

すこし、ややこしかったでしょうか?
将来に損失を持ち越さないために
数字を正しく把握する。

その取り組みの一つですね。

想いが伝わり、成果があがる
そんな仕組みを作るお手伝いをさせてください。

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